鳴かぬ蛍が身を焦がす
『当たり前じゃないですか。いつだって好きな人と話したいと思うのが普通ですよ』
好きな人……か。
中学の時はそんなそぶり一つも見せなかった。
たとえ告白されても結果は見えていたが。
『そろそろ電話切りますね。また明日も会えるし』
晃はそう言うと早々に電話を切った。
若干彼に振り回されてる感が胸の中で駆け巡ったが、
それはそれで有り難いかもしれない。
でなければまた余計な事を考えてしまうかもしれないから。
その時、携帯にメールが届き私は何気なくメールを開いた。
‘電話ありがとございました。おやすみなさい’
謙虚な言葉の後には……。
‘今日の先輩も可愛かったです’
「……」
たった数文字だけなのに、
顔から火が出そうなほど熱い。
この先もこうやって振り回されるんだろうか……。
「参ったなぁ、晃君には」
そう呟いて私はベッドの上に顔を埋めた。