鳴かぬ蛍が身を焦がす
色あせない記憶
「やるね~晃君」
あれから数ヶ月後経った昼休み。
屋上で昼下がりの温かい日差しを浴びながら話すのが、私と親友の日課だ。
「毎日電話とメール攻撃?」
「毎日じゃないけど、まぁほぼに近いかも」
私は空を見上げながらため息混じりで呟いた。
会えばキラースマイルと甘い言葉の連続。
その光景を見たクラスの女子が晃の事を可愛い~と騒ぎ出す始末だ。
皆に彼氏なの!?と問い詰められ、その度に否定する事ももはや日常茶飯事になっていた。
「みんなは可愛いって言ってるけど、私はカッコイイと思うな~」
親友が紙パックのジュースを飲みながら言う。
「しかも中学の時から好きなんでしょ~?超一途じゃん」
「昔はそんな事無かったんだけどね」
部活の時しか顔を合わせていなかったが、
単なる先輩と後輩の関係。
それ以上でもそれ以下でもなかった。
今思えば何かと手伝ってくれたりとまめに手を貸してくれたなと感じるが、
特別優しくされたような印象も無い。
部活のみんなと同じように接していたはずだ。
「響子追いかけてくるなんて、愛されてる~」
親友が私を茶化すように笑った。