鳴かぬ蛍が身を焦がす
着信拒否。
メールを送っても返事が来ない日々が続く。
普段なら送ってすぐ返ってくるのに……。
晃の存在が自分の中で大きかった事に気づき、
彼の事が好きだと確信したのは週末の事だった。
気づいた時この思いを伝えたかったが、その時既に音信不通だった。
だから私は週末明け、すぐに晃の元へ行く事に決めていた。
「一年A組……」
去年一年通った懐かしい教室の前。
昼休みだけあって廊下にはたくさんの生徒が行き交っている。
だが晃の姿は見当たらない。
「あ、ごめんね!」
その時、偶然晃とよく共に過ごしていた男子生徒を見かけ、思わず声をかけた。
「晃、じゃなくて桐島君いる?」
少しどきまぎした私を見て、不思議そうに私を見る後輩。
「桐島なら……」
後輩の口から出た言葉。
「学校辞めましたよ?」
一瞬、息使いが止まる。
「もう、来ても意味無いからって」
‘先輩に会うために’
あの時言った言葉なんて全然気にならなかった。
じゃ、本当に私に会うためだけにここへ――!?