鳴かぬ蛍が身を焦がす
「いいの?凄い怒ってたみたいだけど……」
もしかして彼女……なのだろうか。
そう不安が過ぎったが、
いいんですと晃は無表情で短くり返した。
「買い物ですか?」
手に持った買い物を見た晃がポツリと呟く。
「一人で?それとも先生と一緒に?」
不敵な笑みを浮かべ嫌みっぽく話す晃の言葉に、
ズキンと胸が裂けるような痛みがした。
「まぁ、もう俺には関係ない事ですけど」
ずっと胸に引っ掛かっていた気持ち。
咽まで出かかってるのに、なかなか言い出せない。
今を逃したらもう、
二度と会えないかもしれないのに……。
「あれから先生とまた連絡取ってる――」
「……んで?」
「え?」
か細く呟いた私の言葉は周りの音で掻き消されてしまう。
「何で直接返してくれなかったの?シャーペン」
俯いていた顔を上げ、今にでも泣き出しそうな目で晃を見上げる私。
「私に直接言えばよかったじゃない。もう、いらないからって……!」