箱庭荘の王子サマ


「まぁ、色々あってね」


苦笑いしながら言葉を濁す私をしばらく見つめ、光は「ふーん」と呟いた。

そして彼はグラスにお茶を入れて
それを私に差し出すと
キッチンへと歩いていった。


(光って料理出来たんだ…)

手際よく調理をする彼の横顔を眺める。
(元カレは全然料理出来なかったしな…大違いだ)


「………あーもう!」

忘れようと思ったのに
ふとした瞬間に元カレが頭をよぎる。

なんとか振り払おうと頭を左右に激しく振る。


「…なにやってんだ。犬の真似か?」

呆れ顔で私を見下ろす光。
その手にはフライパンを持ってる。

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