箱庭荘の王子サマ
リビングの壁には
私達が大好きだったロックバンドのポスター。
二人を結び付けてくれたのは
このバンドだった。
高校1年生の夏。
私の持っていたクリアファイルに貼ってあったバンドのステッカーを見つけた彼が話しかけてきてくれて。
そこから仲良くなって。
その年の文化祭の日に、告白された。
一緒にライブに行ったり
お互いの家でCDを聴いたり
だから、去年このバンドが
解散してしまった時は
二人で一晩中泣いた。
『もう俺達、駄目だと思うんだ』──
不意に、昨日の彼の言葉が
頭を掠めた。
どうして?
二人を結び付けていてくれた
バンドがなくなったから
私達も一緒にいる意味がなくなったのかな?