プリズム ‐そしてドラム缶の中で考えたこと-
一見すれば選択肢に溢れた世の中で僕たちは生きている。

ともすれば選択枝に溢れている事を、幸せの意味とすり替えられてしまいがちだけどれども、実はその選択肢自体それほど多くは無い。

選択肢は多くとも実際に選べるものと選ぶべきものはは少ないのだ。

それは高校受験の学区制の際に理解した。

僕はこの時点で下す決断がその後の大きな方向性を決めてしまう事になると知っている。

だから今しか僕らに考える時間は無いのだ。今考えておかないと考える時間すら無く、後悔する時間すら無くなるのだ。

あいつ等が言う通りにしてたら、後悔する時間すら無くなるだけで、後悔する事に価値すら見出せなくなるだけなんだ。

それを後悔の無い人生と呼べるだろうか。呼べるわけが無いじゃないか。

だから、僕は考える時間を得る為にドラム缶に入ることにしたんだ。

後悔の無い人生なんて、そうそう無い事は知っている。

けど今しか考えられない事、自分の中で許せる事や許せない事を考えておかないと、考える時間すら与えられない『ドラム缶外の世界』で、僕は自分なりに自分らしく生きて行く事が出来ないじゃないか!

自分なりに生きて行く事が出来なければその時こそ本当に僕は後悔してしまう。

僕はただしばらく時間が欲しいだけなんだ。

ずっと僕が帰らない訳ではないし、もちろん僕だって家が恋しくなる時もあるし、トイレに行くときはここを離れる。コンビニに行く時もそうさ、だから僕は頭がおかしくなった訳じゃないんだ。

ただただ、やり方が人とはちょっと違うだけなんだ。
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