ブラックパール
序
1
鮮血色の座布団に鎮座する、黒々とした玉。その大きさは、大体人間の頭部程であろうか。四方には防弾ガラスが幾重にも重なり、その宝玉は護られている。更には緑色線のセンサーが、監視するかの如くロープの中を行き来する光景を、コウは少し離れた場所で眺めている。
「ブラックパールが気になるのか?」
落ち着いたテノールが聞こえたので、コウは声の主に向き直る。
「師匠。」
「確かに、あの厳重な警備は疑問に思うかもしれないね。」
「そんなに、大切な物なのですか。あの黒い塊が?」
「勿論。」
「…あたしには、ただの玉にしか見えません。」
「まあ、そうだろうね。何故なら、唯の黒塗りの鋼の玉なんだから」
「え?!」
「冗談だ。」
しれっと笑顔で嘘を付く師匠に、コウの目は白んだ。そんな弟子の姿にクスクスと笑う彼は、息をついて話をすり替える。
「さあ、モレトに戻って聖戦学の続きをしよう。」
「はーい…。」
結局あれが何なのかコウは知らぬまま、モレトに足を運ぶのだった。
「ブラックパールが気になるのか?」
落ち着いたテノールが聞こえたので、コウは声の主に向き直る。
「師匠。」
「確かに、あの厳重な警備は疑問に思うかもしれないね。」
「そんなに、大切な物なのですか。あの黒い塊が?」
「勿論。」
「…あたしには、ただの玉にしか見えません。」
「まあ、そうだろうね。何故なら、唯の黒塗りの鋼の玉なんだから」
「え?!」
「冗談だ。」
しれっと笑顔で嘘を付く師匠に、コウの目は白んだ。そんな弟子の姿にクスクスと笑う彼は、息をついて話をすり替える。
「さあ、モレトに戻って聖戦学の続きをしよう。」
「はーい…。」
結局あれが何なのかコウは知らぬまま、モレトに足を運ぶのだった。