ブラックパール
柔らかい日差しがガーデンを包む。此処は、外界の天気を問わずに明るい。敷地内全体を覆うドームには、魔術が掛けられていて、いつも微睡むような光が入るようになっている。…と、シンシアが言っていたのをコウは思い出した。ラークの引く手を見つめながら、ぼんやりとドームのことを考えていたコウは、

「ほら、あそこの神楊樹の根元!」

ラークの声に意識を向ける。彼の右手が指差す先には、樹齢百年以上の大樹がそびえ、その根元付近に数名がシートを敷いて、団欒している様子が窺えた。

「ラークの友達?」

「うん。占地術の授業で仲良くなったんだ。おーい!」

ラークがそのグループに嬉しそうに手を振るのを見て、コウは複雑そうに微笑んだ。
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