落としもの
「柚希、話していい・・・か?」
今、生徒のほとんどが打ち上げに行っていて、教室には私と和也しかいない。
「俺さ、柚希と付き合えてホント嬉しかったんだ」
和也は私のほうを向かずに、窓の外を見ながら話し始めた。
でも、私は目を逸らしちゃいけない、と思い和也の横顔を静かに見ていた。
「でも、いつも柚希はボーっとしててさ・・・、神矢と仲良くなってからは神矢のこと目で追ってるし」
和也は、悲しそうに苦笑をこぼした。
確信をつかれた私は、肩をビク、と振るわせた。
和也はそれを見て、悲しそうに、でも優しく微笑んだ。