落としもの
(あれ、あの子見覚えがある気が・・・)
誰だっけ、と考えていると、
何故か言い合いの中に楓が入り込んでいた。
「ちょ、え、楓?!」
楓は私の制止を聞かずに、
転校生の子に抱きついた。
「わー、この子が転校生?ちっちゃくて可愛いーっ!!絶対、あの噂嘘だよねーっ!!」
楓は小さくて可愛いものが好きらしい。
早速気に入られたらしい転校生は、
楓に抱きしめられ、苦しそうにしている。
「ちょ、楓、やめなって」
「えー・・・」
「苦しそうにしてるでしょっ」
「うぇ、あ、ごめんねっ」
はぁ、と私はため息をつき
転校生の方へ向いた。