落としもの
『・・・あ・・・』
瑠衣と目が合った。私はとっさに目を逸らしてしまう。
「・・・柚希、喧嘩でもしたの?」
「え、あ、いや・・・違うよ」
じゃあどうしたの、と楓は苦笑いして言った。
「2人の関係が気になるの・・・」
「あ、ヤキモチ?」
かぁっ、と顔に熱が集中していく気がした。
「あらら、図星ね?」
「だ、だっって、2人とも仲良さげだし・・・」
視線を2人の方へ向けると、そこにはやっぱり仲良さそうに話している2人。
それに、瑠衣のみたこともない表情。
「・・・っ」
瑠衣のあんな表情見たことない。
胸はズキズキと痛み出して止まらない。
「楓、私トイレ行って来るね・・・っ」
「ちょ、え?!」
返事を聞く前に私は走り出した。
・・・これ以上、2人を見ていたくなかったから。