狼少年の話
10歳による、ありがちな一目惚れ
ルカとサラは朝食を食べ終え、さっそく北の丘に向かった。
そこはサラのためにサロメが植えた桃の木が沢山ある場所だ。
まだ朝の涼しさが残る中、ルカは右手に籠、左手にサラの手を取って丘を登った。
丘の上まで来ると村が一望でき、周りを囲む森が深いことも知れる。
そして何より、桃の仄かにいい香りが風に運ばれてくる。
「いい匂いだー!」
サラの手を引いたままルカは嬉しそうに桃園へ向かう。
手を引かれながらくすくす笑うサラ。
「ここはいつ来ても心地が良いわ。ルカと出逢ったのも、ちょうど桃の収穫の時だったね」
ルカが木で作られた脚立に乗り、桃を採る様を見ながらサラが言った。
2人の出逢いはこの桃園だった。
それは今から5年前―
「たぁ!はぁっ!ていっ!とぉ!…はぁ、はぁ…くそっ」
小さな男の子が北の丘山頂の桃園で桃を採ろうと奮闘していた。
背が低い男の子には、どう頑張ってジャンプしても頭上の桃には手が届かない。
それでも諦め切れずに何度も挑戦してみるが、やはり届かない。
そうしてしばらく木を睨んでいると、ある事に気がついた。
「登ればいいじゃん」
枝先の桃と格闘し始めて数時間、やっとそこに思い至った。
さっそく桃の木に登ろうと足をかけた時。
そこはサラのためにサロメが植えた桃の木が沢山ある場所だ。
まだ朝の涼しさが残る中、ルカは右手に籠、左手にサラの手を取って丘を登った。
丘の上まで来ると村が一望でき、周りを囲む森が深いことも知れる。
そして何より、桃の仄かにいい香りが風に運ばれてくる。
「いい匂いだー!」
サラの手を引いたままルカは嬉しそうに桃園へ向かう。
手を引かれながらくすくす笑うサラ。
「ここはいつ来ても心地が良いわ。ルカと出逢ったのも、ちょうど桃の収穫の時だったね」
ルカが木で作られた脚立に乗り、桃を採る様を見ながらサラが言った。
2人の出逢いはこの桃園だった。
それは今から5年前―
「たぁ!はぁっ!ていっ!とぉ!…はぁ、はぁ…くそっ」
小さな男の子が北の丘山頂の桃園で桃を採ろうと奮闘していた。
背が低い男の子には、どう頑張ってジャンプしても頭上の桃には手が届かない。
それでも諦め切れずに何度も挑戦してみるが、やはり届かない。
そうしてしばらく木を睨んでいると、ある事に気がついた。
「登ればいいじゃん」
枝先の桃と格闘し始めて数時間、やっとそこに思い至った。
さっそく桃の木に登ろうと足をかけた時。