狼少年の話
一体何の病気なのかルカには想像もできなかったが、悲しい表情をさせていたくなかった。
「そんな暗い顔してたらダメだ。簡単に諦めちゃダメだって、父ちゃんも言ってたぞ」
ルカの言葉にドクは、まったく分かっとらんな…と溜め息をついた。
「あのなルカ、お前が思っているより深刻なんだ。お前の母さんの病気よりずっと思い病なんだよ」
ドクの真剣な表情に、ルカは眉根を寄せた。
「俺…。そうだサラ、友達になろう!」
ルカの突然の言葉に、サラは目を見開いた。
「病気のこと、よく分からないけどさ、俺毎日サラが良くなりますようにってお祈りする!他にもできることがあったらなんでもするからさ!な!」
それはもう、零れんばかりの大きな瞳をキラキラ輝かせて言うもんだから、サラは思わず吹き出して言った。
「うん。ありがとう」
サラの言葉と、やっと見せてくれた笑顔にルカは顔が熱くなるのを感じながらも、言葉通り飛び跳ねて喜んだ。
ドクは2人を見て内心ほっとしていた。
サラには年頃の近い友達がほとんどいなかったため、これで少しは元気になるかもしれない、と。
サロメの反応はおおかた予想つくが。