100のお話
4.みしみし
目を覚ますとそこは―
いつもは木々の間から入ってくる桜の花びらが
部屋いっぱいに広がっているのに
今日は薄暗く湿っている
桜の木々も薄緑をしているような気がする
ベットから起きると少女はいつものように
髪の毛を整えていく
木々の間から入ってくる光を浴びて
キラキラとピンク色の髪が輝いているのに
足まで伸びる髪は今は輝きを失っていた
気分を変えようと部屋を出ることにした
扉を開けると暗闇が広がっていた
闇の静けさに
恐る恐る足を踏み入れると
ひんやりとした風が足に絡みつく
幹の壁を触りながら進んでいくと
左右から風が流れてきた
どちらに行くか迷っていると
左の道に明かりが灯り始めた
そして少女は導かれるように
左の道へと進んでいく
しばらく進んでいくと
みしみしと音が鳴り始め
その音がどんどん大きくなっていく
少女は音のする奥の方へ進んでいきました
みしみしと音は鳴り続け
奥に進むにつれて道も狭くなり
息も苦しくなるような気がしました
目の前には人がやっと通れるくらいの扉がありました
少女はその扉に手をかけると一呼吸してから開けました
ギィイイと鈍い音がして扉は開きました
そこは木の根っこが部屋中に広がっていました
少女はただ導かれるままに部屋へと入っていきました
部屋の中心に進むにつれて気の根っこが少女に絡みつきます
中心に辿りついた時には根っこは少女を覆っていました
みしみしとなり続けた音も今は消えています
少女の周りから光が溢れ木々を覆っていくと
枯れていた葉も今は若々しい葉になりました
少女の瞳は閉じられ、もう二度と開かれることはありません
桜の木はとても華やかで人の心を癒してくれます
一年中咲いている桜の木は奇麗です
でも、それが一人の少女の命によって桜が咲いているとしたら
どうでしょう?
それでも…あなたは奇麗な国だと思いますか?
これが真実だとするならば…とても怖い国だと思いませんか?
桜の国は奇麗な国では無いのです
本当はとっても怖い…
おわり
2007/11/21
いつもは木々の間から入ってくる桜の花びらが
部屋いっぱいに広がっているのに
今日は薄暗く湿っている
桜の木々も薄緑をしているような気がする
ベットから起きると少女はいつものように
髪の毛を整えていく
木々の間から入ってくる光を浴びて
キラキラとピンク色の髪が輝いているのに
足まで伸びる髪は今は輝きを失っていた
気分を変えようと部屋を出ることにした
扉を開けると暗闇が広がっていた
闇の静けさに
恐る恐る足を踏み入れると
ひんやりとした風が足に絡みつく
幹の壁を触りながら進んでいくと
左右から風が流れてきた
どちらに行くか迷っていると
左の道に明かりが灯り始めた
そして少女は導かれるように
左の道へと進んでいく
しばらく進んでいくと
みしみしと音が鳴り始め
その音がどんどん大きくなっていく
少女は音のする奥の方へ進んでいきました
みしみしと音は鳴り続け
奥に進むにつれて道も狭くなり
息も苦しくなるような気がしました
目の前には人がやっと通れるくらいの扉がありました
少女はその扉に手をかけると一呼吸してから開けました
ギィイイと鈍い音がして扉は開きました
そこは木の根っこが部屋中に広がっていました
少女はただ導かれるままに部屋へと入っていきました
部屋の中心に進むにつれて気の根っこが少女に絡みつきます
中心に辿りついた時には根っこは少女を覆っていました
みしみしとなり続けた音も今は消えています
少女の周りから光が溢れ木々を覆っていくと
枯れていた葉も今は若々しい葉になりました
少女の瞳は閉じられ、もう二度と開かれることはありません
桜の木はとても華やかで人の心を癒してくれます
一年中咲いている桜の木は奇麗です
でも、それが一人の少女の命によって桜が咲いているとしたら
どうでしょう?
それでも…あなたは奇麗な国だと思いますか?
これが真実だとするならば…とても怖い国だと思いませんか?
桜の国は奇麗な国では無いのです
本当はとっても怖い…
おわり
2007/11/21