100のお話

6.ぬくぬく

ふわふわと湯気が部屋一面を覆っていきました
外は闇に包まれていて、お月様が光輝いていました

窓は真っ白にお化粧をしています
少女は窓際の席で紅茶を片手に本を読んでいました
部屋の中は温かで静かな時が流れていきます
しばらく、そんな時間を過ごしていると

外の方で音がしました
気になった少女は玄関に向かいます


するとトントンと窓を叩く音がしました
窓を開けると・・・・・・

全身ずぶ濡れの女の子が立っていました
少女は女の子を家に入れました

椅子に座らすと、ふわふわのタオルで頭を拭き
女の子を残して少女はパタパタとお風呂を沸かしたり
紅茶の用意をしていました

女の子は少女が忙しく動いているのを見ています
「くしゅんっ」とくしゃみをしました
それに気がついた少女は女の子に紅茶を差し出します
「もう少し待ってね」
女の子はコクリと頷き紅茶を一口飲みました

*******************

チャポンと湯船に入り冷えた体がじんわりと温かく
なっていきます
ふわふわな髪をおだんごにして、口の辺りまで湯船
につかり目を閉じてリラックスしています
体を洗う泡と一緒に紅茶の香りがいっぱいに広がります

お風呂から出ると
少女が用意しておいてくれたパジャマに着替えます
女の子はベットに案内され、ぬくぬくの布団に包まり
幸せな眠りにつきます

*******************

少女は女の子が眠りについたのを確認すると
部屋の明かりを消して扉を閉めました

女の子が座っていた椅子、コップ、バスタオル
すべてに、まだぬくもりが残っています

このぬくもりが少女が一人ではないことを
教えてくれています

少女の心に温かなぬくもりが
この日育まれました

この温かなぬくもりはやがて大きく成長し
素敵な仲間達と出会います

それは……
楽しいことばかりではないけれど
乗り越えれば素敵な絆になっていきます

2007/12/18
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