粉雪
わたしには、好きなアーティストがいた。

そこまで人気じゃなくて、公園とかでずっと歌ってるような、そんなアーティスト。深夜の番組にちょこちょこと出ているくらいの、はっきり言って無名のアーティストだった。

「雪瀬も、『ココアボタン』好きなの?」

雪瀬。名前を知っていてくれた、雨宮君。

『も』。わたしと同じでココアボタンの大好きな、雨宮くん。

「うん。大好き」

ココアボタンも好きだけど。

雨宮くんも好きだよって。

そんな意味もあって、大好きと答えた。
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