メイドさんの恋愛事情
午前10時。
ついに、今から専属メイドになるんだ…。
少しドキドキしながら、インターホンを押す。
合い鍵はもらったけど、黙って入るのはなんか……。
「はい」
聞こえてきたのは昨日のおじいさんの声。
「あの、今日からメイドになります望月です」
「はい、今開けます」
おじいさん、なんか笑ってた気がする…。
変なこと言っちゃったかなあ?
高い門が、自動で開いた。
やばい、お金持ち…。
庭を通って玄関に行くと、おじいさんがニコニコしながら待っていた。
「妃菜様、ようこそ。ではこちらが門のカードキーになります。昨日坊ちゃまがお渡ししたのは本邸の鍵で、こちらは門を開ける際に必要となります。」
め、めんどくさい…。
そう思いながらもカードキーを受け取り、財布にしまった。
「では、本邸の中をご案内いたしますね」
おじいさんが重たそうなドアをあける。
「靴はこちらに入れてください。好きなところ使ってかまいませんから」
玄関の隣にあるのは大きい靴箱。
あたしの部屋のクローゼットより大きいよ…。