メイドさんの恋愛事情
「店長、ヤバいですよ!今すぐ土下座して下さい!川瀬様、本当に本当に申し訳ありませんでした!」
店員は頭が床にのめり込みそうになるまで、土下座をした。
「はあ?お前何こんなガキ相手にムキになってんだよ。こんなん絶対高校生じゃん」
まだヘラヘラと笑ってる店長を見て、川瀬さんがニヤリと笑った。
「確かに俺は高校生だけど?でも実は、社長もしてるんだよね」
へー、まだ高校生だったんだ…。
大人っぼいな……。
なんてあたしが呑気なことを考えてるうちに、店長はバカにしたような顔になった。
「君が社長?どんな会社なのかなあ。見てみたいわ」
「店長も知ってる会社ですよ?………だって、店長が勤めてる会社なんだから」
「…………!?」
川瀬さんがそう言った瞬間、店長の顔付きが変わった。
そして、ゆっくりとまだ土下座している店員を見る。
店員が頷くのを見て、店長は頭を下げた。
「申し訳ありませんでした、川瀬様!」
「んー、今さら遅いよね。誰であろうとお客様にあんな口聞くなんて、君たち最低だね」
川瀬さんがニコニコしながら言う。
ニコニコが、逆に怖いです……。
「君たち明日から来なくていいよ。今日から新しい人に来てもらうから。わかったら、早く目の前から消えてくれる?それとも、家族で海外に移住したいのかな」
最後の言葉を聞いたとたん、店長と店員が着の身着のままかけだした。
そして、当たり前のように厨房に入り、今のことを説明する川瀬さん。
説明をしている間に新しい店長が到着し、厨房がいつも通りに戻る。
本当に社長さんなんだあ、って感心してしまった。