メイドさんの恋愛事情
「とうむ、って読むんですか」
名刺を見てうんうんと頷く。
てかこの人、本当に社長なんだ。
まだ高校1年生なのに。
「まあ、そーゆーことだから。平日はお弁当よろしくな?あと、平日だと会社寄って帰るから、家つくと8時くらい。そのくらいに夕飯準備しとけ」
「は、はいっ」
今言われたことを頭の中にインプットする。
夕ご飯は8時だから…、それまでに勉強しておかなきゃ。
「後、夕飯は俺が来るまで待ってろ。一緒に食べるから」
……………え?
そう言われても、メイドってご主人様とは一緒にご飯食べないものじゃないの?
そう思ったことが顔に出たのか、川瀬さんはゴホンと咳ばらいをしてから続けた。
「ひ、1人で食べるなんてお前がかわいそうだろ。い、いっしょに食べてやるんだよ。」
顔が少し赤いのは気のせい…?(笑)
あたしは素直にはい、と頷いた。
確かに1人で食べるのは寂しいから…。
嬉しいな…♪
「アイス食べ終わったらたらさっさと行くぞ。俺は忙しいんだから」
さっきの赤い顔はどこへやら。
もしかしてツンデレですか…?
「あ、はい!」
あたしは急いでアイスを食べて、川瀬さんの後ろを歩き出した。