メイドさんの恋愛事情
「父さんと母さんは海外本社にいてアメリカに住んでるから、ほとんど日本に帰ってこないし。最近はレストランで食事済ませてたから……」
少し悲しそうに言う冬夢くん。
あたしは、暖かい食事を用意してくれる人がいたから……。
そういう面では、恵まれてたのかな。
「あの、あたしが作れるのだったら何でも作るので!リクエストがあったら言って下さい。」
あたしがそう言うと、冬夢くんは目を輝かせた。
「…………何でも?」
「はい」
「…………じゃあねー…」
冬夢くんはにこりとかわいらしく笑った。
「妃菜を食べたいかな♪」
「………………!?」
え、な、え!?
あたしの頭の中は完璧にパニック。
そんなあたしに冬夢くんは満足そうに笑って、
「バーカ。冗談だよ。ハンバーグがいいかなあ」
とあたしの頭をくしゃくしゃとした。
じょ、冗談だよね!
びっくりしたあ……。
「は、はっ、はい、ハンバーグですね!了解です」
あたしはそう言って赤い頬をごまかすようにご飯を口に入れた。
じゃあ明日はハンバーグを作ろう♪
なんて思ってる単純なあたしは、昼間にイライラしたことなんて忘れているのでした。