メイドさんの恋愛事情
「………望月さんと、いっしょの班?」
明らかに嫌だ!という目であたしを見る班の方々。
ちょっと………悲しいかな……。
「俺もうちょっとかわいい子といっしょの班が良かったわー」
あたしを睨みながらそう言う同じ班の青木くん。
………あたしが言うのもあれですけど、青木くんただ髪の毛盛ってるだけでかっこよくないですよ?
「…すみません」
んな、文句言うなら唯のファンクラブに言ってくださいっ!
そう思いながらも謝っちゃうあたし。
はぁ〜………。
今から憂鬱だよ…。
――――――――――
「妃菜のバカーっ!!」
な、なぜあたしが唯に怒られなければいけないのでしょうか。(笑)
「あたしは唯といっしょの班が良かったのに!なんで譲っちゃうのよぉー!」
「ご、ごめん。ファンクラブの人が怖くて……」
あたしが苦笑いすると、唯はあきれたようにため息をついた。
「妃菜はさー、自分の気持ちもっと大事にしなきゃダメだよ」
「…………………うん」
「あっ、あたしバイト行かなきゃ!じゃあ妃菜、バイバイ!」
「……うん、バイバイ」
唯がいなくなった教室で、あたしは久しぶりに泣いた。
自分の気持ちを、大事にする?
………、そんなこと、出来るわけない。
だってあたしは、“親がいない子”なんだもん……。