メイドさんの恋愛事情
あたしを守るように、目の前に立ってるのは……、
「と……うむ、くん」
「何でお前っ……」
青木くんと愉快な仲間達が目を見開く。
「コイツ、僕のモノだから。さっさとその汚い手を離してくれない?」
愉快な仲間たちが手を離すと、あたしの腕から鳥肌が消えた。
「君、青木だっけ?次、僕のモノに触ったら許さないからね?」
冬夢くんが、そう言う。
あたしからは冬夢くんの顔が見えないけど……、どんな顔、してるんだろう。
「……………妃菜」
あたしの方を見た冬夢くんは、すごくかわいい顔をしていて。
不覚にも、ドキッとしてしまう。
「消毒。しようね?」
「……………!?」
冬夢くんが、愉快な仲間たちにさわられた腕をぺろっと舐めた。
「ちょっと……!やめて……!」
あたしがそう言うのも聞かずに、唇はどんどんあたしの体を移動していて。
たどり着いたのは、あたしの唇。
「……………!?」
初めてのディープキスに、あたしの頭はクラクラ。
「………ふぁ……やめ……」
「やめない」
息継ぎの時間もなしに、冬夢くんは口の動きを止めてくれない。
「…………まだ、見たいの?」
冬夢くんが青木くんたちにそう言うと、青木くん達はハッとしたように駆け出した。
「あ、諦めないからなーっ!?」
青木くんは、そんなベタなセリフを残して去って行った。