メイドさんの恋愛事情







あたしを守るように、目の前に立ってるのは……、








「と……うむ、くん」








「何でお前っ……」




青木くんと愉快な仲間達が目を見開く。




「コイツ、僕のモノだから。さっさとその汚い手を離してくれない?」




愉快な仲間たちが手を離すと、あたしの腕から鳥肌が消えた。




「君、青木だっけ?次、僕のモノに触ったら許さないからね?」




冬夢くんが、そう言う。




あたしからは冬夢くんの顔が見えないけど……、どんな顔、してるんだろう。






「……………妃菜」






あたしの方を見た冬夢くんは、すごくかわいい顔をしていて。






不覚にも、ドキッとしてしまう。






「消毒。しようね?」






「……………!?」







冬夢くんが、愉快な仲間たちにさわられた腕をぺろっと舐めた。




「ちょっと……!やめて……!」




あたしがそう言うのも聞かずに、唇はどんどんあたしの体を移動していて。






たどり着いたのは、あたしの唇。






「……………!?」






初めてのディープキスに、あたしの頭はクラクラ。






「………ふぁ……やめ……」




「やめない」




息継ぎの時間もなしに、冬夢くんは口の動きを止めてくれない。




「…………まだ、見たいの?」




冬夢くんが青木くんたちにそう言うと、青木くん達はハッとしたように駆け出した。




「あ、諦めないからなーっ!?」




青木くんは、そんなベタなセリフを残して去って行った。






< 55 / 89 >

この作品をシェア

pagetop