メイドさんの恋愛事情
今日は涼真と帰るから♪
そう言って唯はルンルンと帰ってしまったので、あたしは1人で通学路を歩いていた。
唯、恋しててかわいかったなー♪
愛されてる、って感じで……。
そのとき、ふと思った。
あたしを愛してくれる人って、いるのかなって。
お父さんとお母さんはもういないから、愛してなんてくれない。
信パパと美和ママたちも……、きっと、『愛して』くれてはないんだろうな。
かわいがってはもらってるけど……。
もちろん、唯みたいに彼氏に愛してもらうなんて、無理だろうし。
あたしも、『愛してくれる人』欲しいな……。
その時、ケータイがブーブーと鳴った。
友達が少ないあたしだから、ケータイが鳴るなんてあまりない。
誰だろう…?
って、少し身構えながらケータイを見た。
「冬夢くんだ」
“冬夢くん”の表示を見て、少しホッとするあたし。
急いでメールを開いた。
『仕事で今日家帰れない』
たった一言だけのメール。
なのに……なぜか、寂しくて。
買い物をしようといつものスーパーへと向かっていた足が止まる。
今日は、あたし1人…か。
なら余り物で食べよう…。
今日はまっすぐ帰ろう。
あたしは一気に重くなった足を動かした。