メイドさんの恋愛事情
お母様登場
「あなた……、もしかして妃菜ちゃん!?」
呆然とするあたしを見て、美香さん……いや、美香様がそう言った。
「あ、はい、私は望月妃菜と申しまして、えー、あの、先ほどのご無礼お許…」
「きゃー、あなたが妃菜ちゃんなのねっ♪会いたかったわ!」
あたしの言葉を遮ってあたしに抱きついてくる美香様。
………………え?(笑)
「あの、美香様……?」
「やだあ、美香様なんて呼ばないでよっ。美香でいいわ、美香で♪」
「は、はあ……」
ハイテンションで喋りまくる美香さん。
「冬夢のメイドしてるんですってね?あの子ワガママだから大変でしょー?♪」
「あ、いえ。そんなことないです…よ?」
美香さんはふふふと笑ってスーツケースを手にとった。
「やっぱりワガママなのねー♪あ、妃菜ちゃん、ちょっと荷物置いてくるから待っててね♪」
「は、はい……」
呆然とするあたしをよそに、美香さんはエレベーターに乗り込んでしまった。
なんで突然、冬夢くんのお母様が……!?
って、お茶の用意しなきゃ!
あたしは急いでキッチンへと向かった。