メイドさんの恋愛事情
裏切らないで
――――――翌日。
唯しか友達がいないあたしだから、教室に入っても誰にも挨拶しない。
だって、気持ち悪がられるだけだから……。
唯はまだ来てないみたい。
教室をキョロキョロ見ながら、あたしは席についた。
なんだか、いつも以上に周りが騒がしいのは気のせい……?
「あいつ転校生か!?超かわいいじゃん!」
「でも望月の席座ったぜ?席間違ってるんじゃ…」
「間違えてるんなら教えてやらないと!おい!誰が行く!?」
そんな会話が男子の間で繰り広げられているとはつゆ知らず…。
妃菜は昨日の疲れでウトウトしていました。
そんな妃菜の前に現れた男子が1人。
「ヒナちゃん!ヒナちゃんだよね!?」
そこにいたのは……、
「………青木くん」
あたしは思いっきり嫌そうな目を青木くんに向けた。
「僕のこと、覚えてくれてたんだね!?やっぱり、ヒナちゃんはかわいいよ!」
何言ってんのコイツ…。
さすがのあたしでもクラスメイトの名前ぐらい覚えてるわよ!
だいたい…、青木くんは嫌いなのに…!
「すみません。あたしあなたのこと嫌いなんです」
ウトウトしていたところを邪魔されて、イライラ絶好調なあたし。
いつもなら言わないようなことも、簡単に言えてしまう。
「……………え」
「だから、嫌い、大嫌いなんです!あたし、宿泊研修の日から青木くんが死ぬほど嫌いなの!」
あたしはそう言って青木くんを睨みつけた。