メイドさんの恋愛事情




「で、川瀬さんちはどうなの!?イケメン社長がいるって聞いたけど!?」




「あっ、あたし遥兄ちゃんに用事あるから!」




美和ママの質問から逃げるように、あたしは階段を登った。




イケメン社長って…。




冬夢くんは確かにイケメンだけど…ねぇ?




「遥兄ちゃーん?入るよー」




あたしはそう声をかけて遥兄ちゃんの部屋に入った。




「また寝てる…」




気持ち良さそうに眠る遥兄ちゃん。




起こせないなあ…。




「そうだ♪」




あたしはマジックペンを持って、そっと遥兄ちゃんに近づいた。




おでこにオムライスって書いてやるんだから…♪




いひひひっ♪




あたしはベッドに乗って、サインペンのふたを取ろうとした。




いつも完璧な遥兄ちゃんだから、たまには抜けたところがないとね♪(ちょっと違う)




遥兄ちゃんの顔に近づいた、そのとき…









「きゃあっ!?」








あたしの視界が一回転する。




目の前には、遥兄ちゃんの顔と、真っ白な天井。




「何してたの、妃菜」




あたしの顔のすぐ近くで、遥兄ちゃんが口を開く。




「ご、ごめんなさい…。ちょっとイタズラしようと思って…」




いつもより怖い遥兄ちゃんの口調に、あたしは正直に言った。




なんか…、怖い……




「遥兄ちゃん、ごめんね…?あの、本当にごめんなさい…」




あたしは遥兄ちゃんを見上げて謝った。




なんか……、嫌だよ…



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