― ONE LOVE ―

【洋人の再出発】

「洋人!!起きらんね~!朝ご飯できとるよぉ!」


『ん…おはよう…。』


洋人は、今日は朝から母とお墓参りに行く予定だったので、昨夜の遊び疲れで、寝足りない様子だったが、スクッと起きてきた。


【洋人の心】
…あ~ぁ、眠い。


「ほらっ!早よう食べてしまわんね!墓参り行くとよ!」


『んもう~、分かっとるさ!あれっ?父さんは?』

「朝早ようから、親戚の家に行ったばい!」


『そうね。てか、考えてみたら…朝から飯ば食べるとも、一年ぶりばい。』


「はぁっ?!あんた朝飯ば食べんと仕事に行きよっとね!そげん事ばしよるけん背の伸びらんとよ!」


【洋人の心】
…ヒッ‥ひどい…そんなふうに言わんでもいいのに…。一番俺が気にしてんのに…。


『んも~、朝からうるさかね!!背が低くかとは、俺の個性の表れたい!』


「なんばいいよっとね!!カッコの悪か!今時ん若者ばみてみんね!みんな背の高くてカッコのよかやろうが!今からでん遅くなか!背の伸びるごと、ご飯ばいっぱい食べんね!」


『そもそも俺は、母さんに似たけんが、小さかったい!』



「なんば人のせいにしよっか!あんたが小さい頃から、ものば食べんけんがそげんなったったいね!」


【洋人の心】
…朝からいちいちうるさいなぁ…。俺だって、背が高くなりたいよぉ…(泣)

今から、毎日牛乳でも飲もうかな…。


――――――‐‐‐



二人の口喧嘩は終わらず、朝の陽気なラジオのDJの声をBGMに、お墓へ向かう車の中でも、それは続いた。
< 11 / 119 >

この作品をシェア

pagetop