― ONE LOVE ―
実家から約30分、太陽の光を背に、潮風をうけながら、海沿いの道をひた走る。すれ違う車は、わずか数台、そんな町にじいちゃん、ばぁちゃんの家、お墓はある。

昔から、ばぁちゃん子だった洋人は、二年前にじいちゃんばぁちゃんを亡くしている。


――――――‐‐‐


「ほら、洋人!水ば汲んでこんね!」


『あいよ!』


洋人は空きビンに水を汲んできて、じいちゃんばぁちゃんのお墓にかけた。
そして、お線香をたて、お祈りをした。


【洋人の心】
…じいちゃんばぁちゃん、ただいま。そっちの世界はどんなですか?

俺は今、自分の夢に向かって頑張っています。…きっと、そっちから見守ってくれてるだろうけど、これからも応援してね…。




「洋人、生前ばぁちゃんが一番楽しみにしとった事知っとんね?」


『…えっ、なんね?週に一度行きよったデイサービスね(笑)?』



「バカねあんたは!!あんた、どれだけばぁちゃんの世話になってきたって思っとっとね!中学生になってからほとんど、ばぁちゃんに会いに行かんでから!いつもばぁちゃん言いよったとよ!

”うちの楽しみは、洋人の孫ば見る事やけん。まだまだ死なれん…”って!

ばぁちゃんが病気で倒れた時だって……



― 二年前



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