― ONE LOVE ―
― 二年前
「ばぁちゃん大丈夫ねぇ??気分は落ち着いたねぇ?」
「あ~、洋人はどうしたとねぇ?」
「洋人は中学でサッカーばしよるけん。今日は、部活に行っとるよ。」
「はぁはっはっ~(笑)。なんば言いよっとねぇ?!洋人は、まだ幼稚園に行き始めたばっかりやかねぇ。」
洋人の祖母は、認知症という病気を患っており、脳梗塞で倒れた事で、その症状は悪化していた。
「…そうね。ばぁちゃん、私が間違っとったばい(笑)。」
「はぁは~(笑)!良枝(洋人の母)のしっかりせんば、洋人は立派に育たんば~い(笑)!」
―――――――――
― それから数日後
洋人の母は、病院の先生から、祖母の状態が悪いとの急な連絡を受け、病院へ向かった。
そして、祖母の状態を見るなり、すぐに洋人に連絡を取り、見舞いに来るよう伝えた。
「良枝~。洋人は、中学生にったとよねぇ?」
「そうよ。元気に学校に通いよるよ!今から見舞いに来るらしかけん。ちょっと待っとかんねぇ。」
「そうねぇ~!!嬉しかね~。」
それから洋人の祖母は、天井を見つめ、それに何かブツブツ話しかけていた。
―――‐
「…じいちゃん。まだダメとよ。…まだそっちへは行かれんとよ…。」
「ばぁちゃん!!しっかりせんば!!今から洋人の来るけんが!!」
洋人の母は、祖母が亡くなる前に、
もう一度、洋人に会わせたい…
その一心で、祖母に呼びかけ続けた。