― ONE LOVE ―
祖母は、天井を見上げるのを止め、洋人の母の方をじっと見て、こう話した。
「…良枝~、うちの夢ば聞いてくれんねぇ…。」
「…なんねぇ、洋人の孫の話ねぇ…?」
「そう……。うちは、後…何年生きれば、見れるとやろうかぁ…。」
「…洋人はまだ中学生やけん…、後10年くらいやろうねぇ…。…それまで、ばぁちゃんも頑張らんば!」
「…長かねぇ…。そげんかかっとねぇ…。うちが若か時は、もう16歳や17歳で嫁にいったもんとにねぇ…。長かねぇ…」
「…洋人は男の子やしねぇ…。結婚の前に、…良か嫁さんば見つけんばたいね…(笑)。」
「…それもそうやねぇ…。どげん嫁さんばもらうとやろねぇ……楽しみやねぇ…」
「そうさ。…まだ、ばぁちゃんは死なれんばい。」
――――――――‐‐
祖母は、
溢れんばかりの笑顔と、
溢れた涙で、
…そっと、うなずいた。
――――‐‐‐――‐
「…そやけど…洋人よ…。…もうそげん長くは、待たれんばい…。
…あんたの孫ば見たかったばい…
…あんたの卒業式ば見たかったばい…
…あんたの嫁さんば見たかったばい…
…あんたの結婚式ば見たかったばい…
…あんたの成長する顔ば、
―――――‐‐―‐
―――‐‐
…ずっと見ときたかったばい…
………。」