― ONE LOVE ―

【洋人の夢】

住み慣れた町並み、行き交う馴染みの顔や言葉、そして風景。

洋人の田舎は九州のとある小さな町。

朝から賑わう商店街も、午後7時になると閉まり始め、午後8時を過ぎる頃には、店の灯りは消え、タクシーの1台も通らない。

ただそこには、家々を内から照らす、家族の温もりだけがあった。


「洋人、あんた少し痩せたとやなかと?ご飯はちゃんと食べよっとね?」

『毎日大好きなカップラーメンば、食べよるよ(笑)!』

【洋人の心】
…やっぱり、お母さんの手作り餃子はおいしい‥。


「あんた、そげんもんばっかり食べよるとね!この間、米ば送ったやろうが。遊んでばっかおるとやなかとね!少しは自炊して栄養あるものば食べんと‥。あんたがどうなっても、お母さんは知らんよ!」


『分かっとるけど、バイトも忙しかし……さ。』

【洋人の心】
…だって、俺にはミュージシャンになりたいって、夢もあるわけだしさ。分かってよね‥。


< 3 / 119 >

この作品をシェア

pagetop