― ONE LOVE ―
【長い夜】
千春は、溢れた涙を隠しながら、迎えに来ていた母の車の後部座席に乗った。
「千春お帰り~。日帰り旅行だったの??お土産はぁあ??」
『……ないよ……。』
【千春の心】
……グスンッ(泣)
「あれぇえ?!大の大人が、旅行先で友達とケンカしちゃったのかなぁ~?!」
千春の母は、泣いている千春を気にかけながらも、それ以上は何も聞かず、車を走らせた。
―――――‐‐―‐‐
――――――
千春は自宅へ戻ると、急いで部屋に入り、隣の部屋から聞こえてくる、正月の特番を見ている父の笑い声を耳で塞ぎ、部屋の明かりもつけず、涙の続きに吸い込まれた。
【千春の心】
…もう……。
…ツトムの……バカ…。
千春は、ツトムと付き合っていた二年間の思い出に、頭の中を奪われ、
楽しかった事
嬉しかった事
辛かった事
悲しかった事を
リピートボタンを押したCDプレイヤーのように、何度も何度も繰り返し、思い出していた。