― ONE LOVE ―
アキも、そのシンの気持ちに、驚きを隠せずにいた。
「洋人くんの書いた歌詞も、ナンパっていう軽そうな出会いの中に、すごく…なんか…こう……純粋な気持ちが出てるし!…出会った日に、フラれちゃたのは残念だけど、その中で…生まれた…小さな小さな愛があったと思う…。」
【洋人の心】
…お…ぉ…
…シン……深いぃ……(汗)。
「それは¨唯一の愛¨だと思う。…その時、その瞬間、…そして、洋人くんが相手に抱いた…他にはない…たったひとつのモノだから……。」
洋人とアキは、いつの間にかシンの話を真剣に聞いていた。
「それは、別の事でも言えると思う!……例えば……アキちゃんと家族の間にあるモノ…それだって、この世には、たったひとつしかないし。……向こうの席で、ただギャーギャー騒いでる高校生の間にだって、たったひとつしかないモノがある……まぁ…友情とか!それぞれの人や場所や状況によって、生まれるたったひとつのモノ……それは……きっと…すべてが……愛と繋がっていると思う。…そうであってほしい…。」
洋人は、シンの真剣な話を聞いて、千春に対しての自分の気持ち……それが何だったのか、今やっと分かった気がした。