― ONE LOVE ―
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この日本において―
2005年に《児童虐待の防止等に関する法律》という法律が定められ、その中で¨発見した者全てが児童相談所等に通報する義務がある¨とあるが、洋人はそんな事など知るよしもなかった。
加えて、現実的にみても、それに対処する法律や方法など、子供達側にすれば、知る機会すら、ほとんどないのだ。
又、民法においては、親権者による¨必要な範囲内¨での体罰は認められている。しかし、シンに対する父親の行為は、紛れもなく、それを越えていた。
虐待を受けている子供が、その事実を誰かに伝える事も大切ではあるが―
¨シンの場合¨は、その闇の中で、必死に希望の光を―
ただ、待つしかなかった―
第三者の誰かが―
それを、見つけてあげる以外―
子供達に、その現実と―
向き合う方法はないのだろう―
しかしその現実を、誰にも言えず、又、見つけてもらえずに、自分の中で処理するしかない子供達も少なくない。
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「洋人くん…
……ありがとう……。」
『グゥー…、グゥー…(眠)』
洋人は、シンの表情が和らぎ・少し落ち着いた様子を見て、安心しながら眠りについた。