― ONE LOVE ―

「はい!ビール!」




『…………。』




「おい千春!
ビールだってばぁ!!」





『あっ…ありがとう…(笑)。』





「ちょっとぉ~!いくらライヴハウスうるさいからって、こんな耳元で言ってんのに~(笑)!」





『…ごめんごめん!』





「何?考え事?」




『うん…。ツトムとライヴ見に行った日の事…思い出しちゃってた…(笑)。』




「えぇっ?!…もう…そのライヴと今日のライヴは、違うんだよ!…なんたって、千春が大ファンの…」




『あの日も…パンツオブスキンのライヴだった…。』



「ウソっ?!…マジ?!それ早く言ってよ…
…千春…大丈夫??」




『うん!大丈夫!ただ思い出してただけだから…(笑)!…今日は、思いっきり楽しもうね!』




――――‐‐


千春は、ライヴハウスの盛り上がりの中へ、ツトムのとの思い出を、投げた。

その瞬間、今まで千春を離そうとしなかったツトムへの執着心が、スーッと千春の心の中で、人生というアルバムを巡り、思い出の1ページとなった。


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