華〜ハナ〜Ⅱ【完】



暗い海のなかに、明るい色が見える。


楓の髪の色。


きゃっきゃと笑う声も聞こえる。




「…楓、元気だな。」

「そうね。」




濡れたままでバイクに乗るつもりなのか。



タオルすら持っていないのに、海水で濡れたまま楓が戻ってきた。




「なんで二人は入らないんだよ!楽しいのに。」

「濡れたままバイク乗れっかよ。」

「ちぇ、なんだよ。侑希も、なんで入らないんだよ?」

「濡れたくなかったからね…」




だってまた、来た道を戻るのよ?


何時間もかかるっていうのに…









そして案の定。

夏とはいえ濡れたまま風に当たった楓は次の日風邪をひいた。




< 264 / 305 >

この作品をシェア

pagetop