華〜ハナ〜Ⅱ【完】
暗い海のなかに、明るい色が見える。
楓の髪の色。
きゃっきゃと笑う声も聞こえる。
「…楓、元気だな。」
「そうね。」
濡れたままでバイクに乗るつもりなのか。
タオルすら持っていないのに、海水で濡れたまま楓が戻ってきた。
「なんで二人は入らないんだよ!楽しいのに。」
「濡れたままバイク乗れっかよ。」
「ちぇ、なんだよ。侑希も、なんで入らないんだよ?」
「濡れたくなかったからね…」
だってまた、来た道を戻るのよ?
何時間もかかるっていうのに…
そして案の定。
夏とはいえ濡れたまま風に当たった楓は次の日風邪をひいた。