華〜ハナ〜Ⅱ【完】
――カチャ
小さく音をたててドアが開く。
「はい、注目!」
ぺたりと笑みを貼り付けた嘉が入ってきた。
「ん、なんだ?嘉。」
「菓子でも買ってきたのか!?」
「……コーヒーの甘いのが飲みたい。」
「……すー…」
なんでまあ、こんなに自分勝手なのか。
嘉の綺麗に作られた笑みが崩れる。
それでもムカつきを押さえ込んだのか、嘉が口を開く。
「みんなに嬉しいお知らせがあるんだ。」
少しだけ、作られていない笑顔を垣間見せて次の言葉を落とした。
「陽斗さんが地元に帰ってくる。」