華〜ハナ〜Ⅱ【完】
「侑希?」
ふわっと、私の肩に蓮士の手が乗る。
「……っは…」
息、と言っていいのか。
分からないけれど、私はやっと肺にたまった空気を外に送り出せた。
「大丈夫か?」
小さな、私にしか聞こえないくらいの声で蓮士が尋ねる。
…“暁斗さん”には聞こえているんだろうけれど。
蓮士の問いかけに一度だけうなずいて、再び“暁斗さん”に目を向ける。
深呼吸をしてから、口を開いた。
「…初めまして。侑希、といいます。」
彼は今度こそ両方の口角を上げてにやりと笑った。