華〜ハナ〜Ⅱ【完】
…俺は、無力だ。
守ると決めた女のことを、何も知らない。
何かを抱えていることは分かる。
でもそれを話してくれるほど心を開かせてやれる訳じゃない。
……守れない
最近、その現実を突き付けられる。
あの侑希は、MOONに怯えているようにも見えた。
でも、違うようにも――。
いつもみたいな侑希の目じゃなくて、ナイフみたいに鋭い目。
真っ暗なのは変わらないけど、そこに憎悪が含まれた、初めて見る目だった。