華〜ハナ〜Ⅱ【完】
「侑希〜気にしないで?李玖のことは止めるし。」
街へ向かう車の中で楓が言った。
楓は比較的いつもと変わらない。
「心配してないわ。」
そう言うと、
「言うと思った。」
と笑われた。
異様な雰囲気のまま、楓と私以外が口を開くこともなく、車は静かに街に到着した。
車を止めて少し歩いていくと、大勢のギャラリーがいた。
「あそこだろうね。」
「……ああ。」
ざわついていたギャラリーが、4人を見て息をのんで道を開ける。
人の塊の中からは、人を殴る音が聞こえる。
……………。
ずんずんと進み、真ん中にいる李玖を見たとき、何故か悲しくなった。