まあるい固体の上で【詩集】
汚れているモノ
「あっ汚い」
そう言って誰かが手を遠ざけた。
「大丈夫よ、洗えば使えるよ」
そう言って誰かが手を差し伸べた。
「そう?とても綺麗になるとは思えないけれど。あたしは触りたくもない」
そう言ってそれを見て、苦虫を噛んだように顔をしかめる。
「でもあなたはやっぱり優しいわね」
そしてすぐにその場を立ち去る。
残ったそれを見てもう一人も冷たい顔でその場を去った。
一番汚いのは一体誰なんだか。