空に輝く夏の夢。



桜並木から桜が舞う。


新品のブレザーに袖を通し、慣れない道を自転車をこぐ。



――今日は入学式だ



「おっはよー!翔太!」


駅の方から手を振りながら美夏が走って来る。



周りの女子はスカートが短いのに対し、彼女のスカートは膝が見える程度の丈。
そのせいか、なんだか美夏が目立って見えた。



翔太は自転車を止め、美夏を待った。


「はよ。チャリじゃねーの?」


追いついた美夏と並んで歩き出す。
右に自転車。左に美夏。


腕がぶつかりそうな距離が歯がゆい。



「電車だよ。夜、暗いし危ないからね」

「お前なんか誰も襲わねーと思うけど…」

「失礼な!」


あぁ。またやってしまった。
俺は美夏を前にすると、憎まれ口ばっかり叩いてしまう。



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