空に輝く夏の夢。



行ってやる。甲子園。



涙と、希望と、感動の詰まった夢の舞台へ。



「……た!」


声が聞こえた気がして、振り返った。



「野田翔太!」


がっしりした体格の坊主頭の少年が空き地のフェンスから身を乗り出していた。


歳は…翔太と同じくらい。


「お前、野田翔太やろ?南中でピッチャーやってた」

「あぁ」


俺は、お前知らねぇよ?
翔太は眉間に皺をよせる。


「俺、灘 毅(なだ つよし)。川中でキャッチャーやっててん」

川中…
翔太の出身、南中から最も遠い中学。


練習試合も、公式戦でも当たったことがないが、噂は聞いていた。



─すげーキャッチャーがいる


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