びたーがなっしゅ。
教室に入ると、美莉はもう着ていた。


「おはよっ。茉湊」
「美莉〜。おはよう」
「はい、これ。茉湊の分」
「ありがと〜」


わ。
ガトーショコラだ。
チョコレートのコーティングがキレイで、
まるで売り物みたい……。

「ね。ね。私のは?」
「あるよ〜。美莉みたいな上手じゃないけど」
「わぁい☆ 茉湊愛してるぅ」
「それは彼氏に言いなよ」

形の良くないガナッシュカップ。
だけど、
美莉がワンコみたいにしっぽを振りながら喜んでくれたから、
私まで嬉しくなる。


「で、涼空のは?」


心臓が、
止まるかと思った。
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