だから、ずっと
“うちが乃々香ちゃんを捨てるんや。いっくんも家族も…あたしのもんや。”
囁かれた言葉は怖くて…
仲直りの言葉を…
謝罪の言葉を紡がれると思っていた口から出た言葉は残酷やった。
「…お兄ちゃん……っ、ごめっ…」
泣きながら…入試のこと…全てを話した。
お兄ちゃんは偉い、と言ってたうちの頭を撫でてくれた。
「菜々香は…昔から乃々香に対して劣等感を持っててん。」
菜々香が?
嘘や……
「菜々香の友達って、乃々香の友達やろ?やから…あいつは…乃々香のお荷物みたいに思ってた時もあった…。」
「うそ…」
「ゴメンな、俺、気づいてんのに乃々香に教えんくて…お前はただでさえ菜々香のことでいっぱいいっぱいやったから……重荷にさせたくなかってん。」
「いいよ…気付かんかったうちも悪いし……でも…」
「乃々香は悪くない。なんも悪くないから…菜々香のことは俺に任せて…な。」
「うん。」
と、しか言いようがなかった。