群青
「そん、な…」
かける言葉が見つからない。続ける言葉もわからない。
僕はみーちゃんに何て言えばいい?
停止した思考と口。だからみーちゃんが続けて喋ってくれて助かった。
「私には、もう頼れる人がいないの。だから夏君。お願いだよ、助けてよ…っ」
「……」
みーちゃんの悲痛な叫び。救いを求める彼女の手はいつの間にか僕の袖を握り締めていた。
窓の外。
それ程遠くもない校庭からだろうキンという金属バットの打撃音。それに張り上げられる掛け声。
校舎内からは管楽器の不協和音。
学校の呼吸とも取れる音達が、嫌でも僕とみーちゃんの異質な会話を現実だと教えてくれる。
ほとほと、迷惑な幼なじみである。