群青



人はあまりいない。


広い食堂に並ぶテーブルの内、埋まっているテーブルは一つもない。


まばらに数人が座っている程度だ。


僕は食堂から中庭へと抜ける。


中庭には数台の自販機が立ち並び、その内容はパック飲料や菓子惣菜パン。


はたまたスナック菓子だったりとバリエーションは豊富だ。


大友は多分パンでも買うのだろう。丁度一つ残されていたピザパンを、それと自分用のコーヒー牛乳を買う。


近くのベンチに腰を下ろし、コーヒー牛乳を飲み始める。


それからしばらくすると「お、いた」と大友がやって来て僕の隣に座った。


「ほらよ」


「お、ピザパンじゃん、残ってたんだ。サンキュー」


大友はパンを受け取りすぐさまかぶりつく。


腹減り過ぎだろ。お前。


「あ~、ピザパン旨い」


なかなか量のあったピザパンではあったが空腹の前には大した量ではなかったらしく、すぐにその姿は消えてしまった。


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