群青



「……足んねぇ」


そう呟いた大友は空の自販機を憎々しげに睨みつける。


だけど自販機はそんな大友の視線にも動じずただそこにジッと立ち続ける。


鉄の心を持っているのだろう。


「……何をニヤニヤしてんだ」


おっと。上手い事を言ってしまってつい顔に出ていたようだ。


大友は自販機でコーラを買い、それを一気に飲み始める。


「炭酸でも飲めば腹一杯になるだろ」


「腹は膨れるかも知れないけど、お前このあと部活するんだよな?」


「あ~、今日は俺流す程度で調整するから別にいいわ」


「お前はいいかも知れないけど、あのバカが騒ぐんじゃないか?」


「別に、構わんよ」


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