群青
「冗談ってなんの事?」
みーちゃんが問い返す疑問。その着地点は言わずもがななはずなのに。
「……みーちゃん、もう一度だけ言うぞ。『お父さんを殺して』なんてくだらない冗談はよせ」
けれど、僕の言ってる意味が分かってるのか分かってないのかみーちゃんに反応はない。
無反応。ではない。
ゆっくりと、それに丁寧にみーちゃんは咀嚼(そしゃく)しているのだ。
僕の懐疑を。
「夏君、私は冗談なんて言ってないよ」
私は本気だよ?
そう続けるみーちゃんはまるでブレがない。
昔からの付き合いだ。
みーちゃんの吐く言葉の真贋くらいは見分けはつく。
だからこそ意味がわからなかった。